祈り便第40信

<一年を通しての祈り>
・1879年の「琉球処分」以来、日本政府と私たちは沖縄を利用し冷遇しています。差別によって苦しむ沖縄の呻きと言葉に私たちが耳を傾け、歩み出すことができますように。
・沖縄に立てられているキリストの教会の、福音宣教の働きを覚えて。

<時々刻々の祈り>
・辺野古の新基地建設強行に反対する人々の声が神に届きますように。
・奄美大島・宮古島・石垣島・与那国島への自衛隊配備によって、住民が分断されています。かって日本が沖縄を捨て石としたように、再び沖縄を戦場とすることがありませんように。

「琉球処分」

1879年、富国強兵策の日本は独立国であった「琉球王国」を強制統合し、日本に組み込みました。多くの教科書には「琉球処分」と記述されています。「処分」と言う表現は、何か悪いことをした者に対して行う措置というニュアンスがあります。沖縄の一人の牧師が問いかけました。「沖縄は処分されるような悪いことをしたのですか。」「沖縄は開拓(伝道)されなければならないような未開の地なのですか。」松島泰勝氏は著書「琉球独立論」の中で「琉球に関しては独立国であるにもかかわらず、日本政府の一方的な命令に従わないことを処罰の理由として、軍事力を背景に強制的に王国が廃され、国王が廃位させられたのです。琉球処分ではなく、琉球併合と言い換えるべきでしょう。」と記しています。「琉球処分」という言い方は、天皇の支配に属さない民を日本に組み入れ、教育するというような意味合いがあるのではないでしょうか。以来、政府とそれを意識的にまた無意識的に許してきた日本人は、自己の利益のために沖縄を利用し、消費し、冷遇してきたのではないでしょうか。
今、辺野古の新基地建設強行は、沖縄差別の極みに達しようとしています。

沖縄は今

2016年12月13日、名護市安部(あぶ)の海岸に垂直離着陸輸送機MV22オスプレイが墜落しました。近くに集落があります。12月に東村高江のヘリパッド(ヘリコプター離着陸帯)が新しく建設され米軍に提供されました。「本土」から500人の機動隊員が沖縄に派遣され、抗議の人々を押さえつけて工事を強行しました。高江の次は、中断されていた辺野古の海を埋め立てる工事が強行されています。ジュゴンの藻場があり豊かな珊瑚礁に生き物が群がる大浦湾に、14トンのコンクリートブロック228個が押しつぶすように沈められています。海上ではカヌーに乗った人たちが抗議の声をあげ、陸上では基地に入る工事用車両を止めようと、キャンプ・シュワブ前に人々が毎日座り込んでいます。沖縄戦を体験した島袋文子さん(86才)は「戦争は二度とならん。」「弱い者が勝つ方法が1つある。それは勝つまで諦めないこと。」と、工事用車両の前に立ちはだかっています。現場のリーダーであり信頼が厚い沖縄平和運動センター議長の山城博治さんは、2016年10月17日に有刺鉄線1本を切ったことで逮捕され、4ヶ月以上勾留されています。二人の方も勾留されています。山城さんは非暴力抵抗を貫いています。仲間が逮捕されないように、怪我をしないように、また、暴力を振るう相手をも1人の人格者として配慮ある言葉をかけるようにと語っています。山城さんは2年前に悪性リンパ腫の手術をされ、今も治療中です。入院のため現場を離れるとき、対峙している警察官が「治療して早く戻って来て欲しい」と、声を掛けたそうです。国策に反対する者はこのようになるのだとの「見せしめ」のようです。山城さんは平和の現場に戻りたいと差し入れの納豆を食べて希望をつないでいます。沖縄の冬も冷えます。治療中の山城さんへの靴下の差し入れがしばらく許されませんでした。家族との面会はいまだ認められていません。そして世界中の人々やアムネスティーをはじめとする人権団体から即時釈放の声があがっています。
連日続いている座り込みのキャンプ・シュワブ前では、歌・踊・三線(さんしん)、トークと、現場の非暴力抵抗が貫かれています。   (那覇新都心教会  岡田有右)

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